年収2000万・保険未加入でも怖くない理由|社会保険・団信・自己資産で代替する考え方

保険

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結論から言う。私は民間保険に1円も払っていない。そして今のところ後悔していない。

「え、年収2000万あるなら保険くらい入れるでしょ」と思うかもしれない。逆だ。資産が増えれば増えるほど、保険の必要性は薄れる。保険とは「お金がないリスク」を補う商品であって、お金があれば自家保険が成立するからだ。

この記事では、私がなぜ全保険を解約したか、その論理的な根拠を具体的な数字とともに説明する。保険を解約したい人への背中押しではなく、「数字で考える」ための材料を提供することが目的だ。

免責事項: 本記事は保険の解約を推奨するものではありません。保険の要否は個人の資産状況・家族構成・健康状態によって異なります。本記事はあくまで一個人の経験と考え方の共有です。


私が全保険を解約した日:月3万の保険料が投資に変わった

社会人になってしばらくの間、なんとなく保険に入っていた。新卒で入った会社の同僚に「生命保険くらい入っておいた方がいい」と言われ、深く考えずにFPに相談して死亡保障付きの終身保険と医療保険に加入した。月額で合計2万8千円くらい払っていた。

払い続けること4年。ある日、証券口座の残高を見ながらふと計算した。

4年間で払った保険料の総額: 約135万円。

受け取った保険金: ゼロ円。

もちろん「保険はお守りだから使わなくていい」という意見はわかる。でも私の性格上、135万円がどこに消えたかを追いかけずにはいられなかった。

その後、保険会社の決算書を調べてみた。保険会社の利益率と、どれだけ「払いすぎ」ているかの構造が見えてきた。ざっくり言うと、払う保険料の中には純粋なリスク補償コスト(純保険料)に加えて、保険会社の運営コストと利益(付加保険料)が乗っている。この付加保険料が、インデックス投資に回した場合の機会損失になる。

計算してみたら、月3万円を年利5%で20年運用した場合の将来価値は約1,240万円になる。詳細なシミュレーションは保険料を投資に回した場合のシミュレーション記事に書いたので見てほしい。

この数字を見た瞬間、私の中で保険の優先度が大きく下がった。そして解約へ向けて具体的に動き始めた。


保険が不要な人の3条件:独身・公的保険フル活用・資産形成中

私が考える「民間保険が不要な人」の条件を整理する。

条件1:独身(被扶養者がいない)

生命保険の本質的な役割は「自分が死んだ時に残された家族が困らないようにすること」だ。独身で養う家族がいないなら、死亡保障の必要性はほぼゼロになる。

自分が死んだとき、誰が困るか?両親?すでに財産があれば困らない。兄弟?すでに独立しているなら困らない。

私の場合、死亡保障が必要な人間が一人もいないという結論に至った。

条件2:公的保険(社会保険)をフル活用できている

日本の社会保険制度は、世界的に見ても手厚い部類に入る。会社員が加入できる制度を整理する:

制度内容
健康保険医療費の3割負担(高額療養費制度あり)
傷病手当金病気・ケガで働けない時に最大18ヶ月、標準報酬日額の2/3
障害年金障害が残った場合の年金給付
遺族年金死亡時に遺族への給付(独身は関係薄い)

特に傷病手当金は重要だ。月収100万円の人が病気で3ヶ月休んだ場合、傷病手当金として月67万円弱が支給される。これは医療保険の「入院日額」とほぼ同じ機能を果たす。

条件3:緊急予備費として現金を確保している

私は現金450万円を常時手元に置いている。これが「自家保険」の原資だ。

仮に長期入院になったとして、医療費の自己負担は高額療養費制度で上限が設定される。高所得者でも(2026年改正後の金額については後述するが)月に数十万円程度だ。450万円あれば、相当長期の入院にも耐えられる計算になる。


高額療養費制度の本当の守備範囲

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、超過分を国が補填してくれる制度だ。「医療保険はいらない」という議論の核心に位置する制度である。

詳細な解説と2026年8月の改正内容については、高額療養費制度2026年改正の解説記事に詳しく書いた。

ここでは私の立場から一点だけ正直に言う。

2026年8月の改正を知ったとき、少し揺らいだ。

高所得者区分の自己負担上限が引き上げられる改正だ。私のような年収帯だと、改正後の月額自己負担上限が従来より数万円上がる。1回の入院で大きな差にはならないが、長期になると積み上がる。

「やっぱり医療保険を検討すべきか?」と3秒くらい思った。

でも計算したら、やっぱり不要という結論に戻った。理由は後述する「資産でカバーできる閾値」の問題だ。資産3000万円超の現時点では、高額療養費の上限引き上げ分は自己資金で十分にカバーできる。


住宅ローンの団信が生命保険を代替できる理由

3年前に都心のマンションを購入した。住宅ローンを組む際に団信(団体信用生命保険)に自動加入した。

団信の仕組みはシンプルだ。死亡または高度障害状態になった場合、ローン残債が全額免除される。

私のローン残高は現在約5500万円。これが死亡時に消える。

独身の私にとって「死んだ後に残る資産」が増えても意味は薄い。でも「死んだ後に残る負債」がゼロになることは、それなりに意味がある。遺産として家が丸ごと残るからだ。

別途生命保険を掛ける理由が見当たらない。団信の詳細な仕組みと比較については住宅ローン団信と生命保険の比較記事に詳しく書いた。


保険料を投資に回すと20年後にどうなるか

私が解約した保険の月額保険料は合計で約3万円だった。この3万円を毎月インデックスファンドに投資した場合、20年後にどうなるか計算してみた。

年利5%で計算(S&P500の長期平均はインフレ調整後でおよそ7〜8%なので保守的な設定):

期間積立元本運用後の資産保険料の総費用(機会損失含む)
10年360万円約466万円約466万円分の機会損失
20年720万円約1,237万円約1,237万円分の機会損失
30年1,080万円約2,496万円約2,496万円分の機会損失

30年間保険料を払い続けた場合、保険会社に渡る機会損失は約2,500万円になる計算だ。

詳細なパターン別シミュレーション(月1万円・月3万円・年利4%/5%/7%)は保険料投資シミュレーション記事を参照してほしい。


「保険を解約してよかったこと・少し不安なこと」正直な現在地

いいことばかり書いても嘘になるので、正直に書く。

よかったこと

毎月3万円が投資に回るようになった。

これは本当に大きい。年間36万円、10年で360万円の元本が積み上がる。しかも複利で育つ。保険解約後の3年間で、この分だけで約110万円以上の資産が形成されている計算になる。

精神的なシンプルさが増した。

保険証券の管理、更新の案内、保険会社からのDM——これが全部なくなった。お金の管理がシンプルになると、本当に集中すべき資産形成に頭を使えるようになる。

「保険ってなんだろう」と真剣に考えた。

保険を解約するために色々調べた。その過程で社会保険制度の全体像、高額療養費の仕組み、傷病手当金の計算方法を初めてちゃんと理解した。これは知識として今も役立っている。

少し不安なこと(正直に言う)

2026年8月の高額療養費制度改正は、正直「うーん」と思った。

高所得者区分の自己負担上限が引き上げられる。現在の私の年収帯だと、改正後は月の自己負担上限が大きく変わる可能性がある。詳細は高額療養費改正の解説記事に書いたが、金額で見ると以下の通りだ:

  • 改正前(区分ア):月の上限約25.4万円(標準報酬月額83万円以上)
  • 改正後:上限が大きく引き上げられる予定

1ヶ月の入院ならまだいい。でも3ヶ月、6ヶ月の長期入院だと積み上がる。現金450万円を緊急予備費として持っているから今のところ問題ないと判断しているが、この改正は「資産が少ない段階で保険を解約するのは早計かも」と思わせるには十分な内容だった。

がんリスクは今も気になっている。

統計上、男性の2人に1人は一生のうちにがんに罹患する。治療が長期化した場合、医療費だけでなく就業能力の低下が問題になる。傷病手当金は18ヶ月が上限だ。18ヶ月を超えて働けない状態が続いた場合のシナリオは、「資産3000万円で耐えられるか?」という問題になる。

今のところ「耐えられる」という計算だが、資産がもっと少なかった時期に保険を解約していたら話は違っていた。


まとめ:保険は「不安の商品」。数字で判断する手順

保険は感情で買う商品だと思っている。「もし何かあったら」という不安を売っているビジネスだ。不安は定量化しにくいから、判断が難しい。

だからこそ、数字で考える手順を提示したい。

ステップ1: 自分に被扶養者がいるか確認する
独身で養う家族がいないなら、死亡保障の必要性はほぼゼロ。生命保険は即刻見直しの対象になる。

ステップ2: 高額療養費の自己負担上限を確認する
自分の年収帯でいくらになるか計算する。2026年改正後の数字を確認する(解説記事参照)。

ステップ3: 緊急予備費の額を確認する
高額療養費の自己負担上限×12ヶ月分の現金が確保できているか。これが「自家保険」の判断基準になる。

ステップ4: 保険料を投資に回した場合の将来価値を計算する
現在払っている保険料を年利5%で20年運用したらいくらになるか計算する(シミュレーション記事参照)。

ステップ5: 団信の有無を確認する
住宅ローンがあれば団信に加入済みのはず。その保障内容を確認する(団信解説記事参照)。

この5ステップを経て、「それでも保険が必要」と判断するならそれは合理的な判断だ。「必要ない」と判断するなら、保険料を投資に回す選択肢を検討する価値がある。

感情ではなく、数字で決めてほしい。それだけだ。


注意: 本記事で紹介した数字(高額療養費の上限額等)は2026年4月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。投資にはリスクが伴います。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。

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