はじめに
私は副業を始めて5年半ほどになります。副業での収入と、サラリーマンとしての収入を合わせると年収2000万円ほど。
これだけ聞くと「副業を始めようかな…」と思いませんか?
ただ、始めようと思っても副業のメリットとデメリットが気になるのではないでしょうか。
私の実例もですし、例えば物価高の昨今ではSNSやニュースでは「収入が増える」などの良い面が強調されがちですが、実際には生活やメンタルに影響を与える部分もあります。
私は30歳、Web開発を本業とするエンジニアです。副業は2社から請け負っていて、1社は5年半、もう1社は3年ほど続けています。本業と合わせると3社から収入を得ている状態です。
これまでの副業を通して、収入はもちろん、スキルや人脈といった目に見えにくい資産も得られました。しかし、その裏側には「時間的負担」や「継続の難しさ」といった課題もありました。
この記事では、副業のメリットとデメリットを実体験ベースでお話ししようと思います。
これから副業を始めようと考えている方にとって、副業が自分に合っているかどうかを判断する手助けになるような内容にしました。
私は最終的に副業はおすすめという立場ですが、5年半の副業経験から感じたメリット・デメリットの両面をしっかりお伝えします。
副業のメリット4つ
私が感じた副業のメリットは
- 精神的・金銭的な安定感
- 本業以外でのスキルアップ
- 別業界のドメイン知識が得られる
- コミュニケーション能力の向上
の4つです。それぞれ見ていきましょう。
精神的・金銭的な安定感
何といってもこれ。副業をやることで、本業一筋では比べ物にならないくらい収入を増やすことができます。毎月銀行口座に振り込まれる金額が大きくなることで、精神的・金銭的な安定感を強く感じることができるようになりました。
私の場合だと、本業・副業を全て合わせて大体毎月100万円くらいが口座に振り込まれています。
毎月それだけ入ってくるとめちゃくちゃ安心できますよね。圧倒的な心の余裕ができます。
もちろん、それだけお金が入ってくれば毎月の貯蓄や積立投資に回す金額も大きくできるため、資産形成だったり生活防衛のための貯金だったりがとんでもない速さで進みます。
金銭的・精神的な安定を得られる→より本業や副業に集中できる→成果がでてより収入が増える、といった良いサイクルを回すことができるようになりました。
本業以外でのスキルアップ
副業を続ける中で感じた2つ目のメリットは、本業では得られないスキルを磨けることです。
私の場合は本業でも副業でもソフトウェアの開発を業務としているのですが、本業では扱わない技術やツールに触れる機会が多々あります。
副業で新しいプログラミング言語やクラウドサービスを学び、それを本業にも活用したり、逆に本業で学んだ知識をもとに副業の開発業務を効率化したり、と双方に良いフィードバックを与えることができました。
例えば、本業ではAWSをメインで使っていたのですが副業ではGCPを導入したり、言語もGolangなどを使う機会があったりと、さまざまな環境で実務経験として積むことで職務経歴書のバラエティが上がりました。
業界に捉われない普遍的なスキルが得られる
副業の案件では、全く異なる業界のシステムを開発することもあります。
私は本業がIT業界ですが、副業ではエネルギー業界や工作機械の開発設計といった業界の案件に携わりました。結果として、業界特有の課題や業務フローを理解できるようになり、知識の幅が広がったのです。
また、様々な業界でエンジニアとして働くことで、業界にとらわれない普遍的なスキルを身につけることができました。
例えばシステムの要件整理・定義のスキルは副業を通して身につけることができたスキルの一つです。
システム開発では顧客の要望を理解し、要件定義をしたりサービスを通してどのような価値を届けるのか、といったコンセプト的な設計が非常に重要です。
多様な業界の顧客を相手にしているうちに、具体的なユースケースを元に顧客の要望を抽出し、そこから抽象化した項目として機能要件をリスト化する、といった手法はどの業界でも役立つ手法だと感じています。
このように本業だけでは一つの業界という物差しでしか自分のスキルを図ることはできませんが、副業を通すことで様々な業界で働くことができ、キャリア全体で見ると非常に価値のある、将来の転職や独立時にも武器になるスキルを身につけることができます。
コミュニケーション能力の向上
先ほどのメリットにも関連しますが、コミュニケーション能力の向上も副業で得られた大きなスキルです。
副業では、限られた時間で成果を出すために効率的なコミュニケーションが求められます。
本業とは異なるメンバー、バックグラウンドが異なる顧客と協力し、リモートで開発を進める中で、要点を押さえた説明や質問の仕方が自然と身につきました。
例えば、エンジニア同士の会話であれば実装方針の議論で、メリットデメリットを列挙した上で意思決定に必要な情報を提示し、効率的に開発を進めることができるようになったりと、それまでは主観的な視点で物事を考えることが多かったのですが、第三者の視点で議論ポイントを提示できるようになりました。
結果として、本業でも打ち合わせでも、「話がわかりやすい」と言われるようになりました。これは収入以上に価値のある副産物です。
副業のデメリット
今度は副業のデメリットを見ていきましょう。私が感じたデメリットは
- 時間的拘束と生活リズムの乱れ
- 習慣化・継続力が求められる負荷
- 本業とのバランスを取る難しさ
の3点です。
時間的制約と生活リズムの乱れ
副業の最大の課題は、時間の制約です。
私は月に50〜60時間ほど副業に充てていますが、これは平日2〜3時間、休日4〜5時間の計算です。
残業だと思ったとしてもそこそこの量はありますよね。
流石に月あたり80時間を超えるようになってくると負担が高すぎて健康に悪影響があると感じるのですが、私の場合は60時間あたりが程なくこなせる限度でした。
とはいえ、それだけの稼動を本業の終了後にすると、就寝時間が遅くなり生活リズムが乱れることもありました。また繁忙期などで集中的に副業の稼動が必要だったりすると、疲労が抜けずに本業の作業効率も落ちる、なんてこともありました。
また、今後自分に新しい家族が増えた場合など、プライベートにもっと時間を割く必要があるようになれば今の働き方は継続が難しいとも考えており、これも副業の課題だなと考えています。
習慣化・継続力が求められる負荷
副業は短期間で終わるものではありません。継続して納品・対応を行う必要があり、モチベーションの維持が大きな課題になります。
「今日は疲れたからやらない」という選択肢が取りにくく、契約や納期のプレッシャーが常にあります。
私の場合は副業を2社でおこなっているので、本業と合わせると3社からプレッシャーを感じている状態です。これは、なかなかに大変です。
私の感覚では、時間管理が苦手な人だったり、タスクの習慣化が苦手な人にとっては、副業を継続して行うことが負荷の大きなストレスになるだろうなと感じています。
私は幸いその辺りのストレス耐性はあるようで、無事に5年半ほど副業を続けられていますが、このようなデメリットがあるのも副業の一面だと強く感じています。
本業とのバランスを取る難しさ
「時間的制約と生活リズムの乱れ」でもお話ししましたが、副業が忙しくなると、本業のパフォーマンスに悪影響が出ることがありました。
今までで一番ピンチだったのは、本業の繁忙期と副業の繁忙期が運悪く重なってしまった時です。
両方とも1週間ほどで終わった繁忙期だったのですが、その1週間は毎日3〜4時間ほどの睡眠で乗り切るしかなく、毎晩泣きそうになりながら副業の開発をしていました。
今では本業も副業もスケジュール管理を徹底するようにしています。
私の基本スタンスとしては、本業を優先して副業は自分の時間や体力に余裕のある時に進めるという姿勢で副業に取り組んでいます。
最初は副業先には「毎週X時間ほど必ず稼働できます!」というように無茶な約束をしていたのですが、今では正直に自分の状況を伝えて、「2ヶ月後のX月は本業が繁忙になるため、稼働を減らさせていただきたいです。開発計画には影響は出ないように進捗させますが、問題ないでしょうか?」のように、事前に見通しを伝えて負荷コントロールをするようにしています。
本業あっての副業という前提を忘れると、本業でも副業でも信用や評価を落とすリスクがあります。
副業先ではあくまでも副業という前提で契約をしている部分がありますので、正直に相談してみることが大切だと今では感じています。
副業が向いている人・向いていない人
以上、私の5年半の副業経験を通して感じた副業のメリット・デメリットですが、これらを元に副業に向いている人、向いていない人の特徴を話しましょう。
副業が向いている人
- 自己管理能力が高く、時間を計画的に使える人
- 学びに前向きで、新しい環境や業務にも適応できる人
- 長期的にコツコツ続けるのが苦にならない人
- 本業以外にもやりがいや成長を求める人
- お金が欲しい人
副業が向いていない人
- 生活リズムが不規則で、時間管理が苦手な人
- 疲れやすく、余暇を休養に充てたい人
- 成果や報酬をすぐに求める人
- 一度に複数のタスクを抱えるとパニックになりやすい人
副業を始めたい人へのアドバイス
私は今現在は月に50〜60時間ほど副業に充てていますが、最初からこの時間の稼働をしていたわけではありません。最初はもっと短い時間からスタートし、コツをつかんだ状態で少しずつ増やしていきました。
もし、私のブログ記事を見て副業をしてみたいと思った方は、以下のアドバイスをぜひ参考にしてくださいね。
- 小さく始める:最初は月10〜20時間程度からスタートし、無理のない範囲で拡大する
- 稼働時間を固定する:曜日や時間帯を決めて習慣化する
- モチベーション維持の工夫:成果や学びを記録し、小さな達成感を積み重ねる
私が副業を始めた理由は以下の記事が参考になります。

まとめ:副業はデメリットを理解した上で挑戦すべき
副業には確かに時間的・精神的な負担があります。しかし、本業では得られないスキルや人脈、精神的な余裕を考えると、その価値は非常に大きいです。
私の持論は、デメリットを理解した上で取り組めるなら、副業は強くおすすめです。
特に20〜30代でキャリアアップや資産形成を考えている方には、長期的に大きなリターンをもたらす可能性があります。私も副業をやっていて大変だったなあと思うことは良くありますが、後悔したことは一度もありません。
あなたがもし、副業に少しでも興味を持っているなら、まずは小さく始めてみてください。そこで得られる経験は、必ずあなたのキャリアと人生を豊かにするでしょう。

