転職回数が多いと不利?採用担当経験者が語る目安と合格する職務経歴書の作り方

転職

「転職回数が多いと不利になるのでは…」という不安は、多くの20代・30代が抱える悩みです。私自身も2回の転職を経験し、さらに過去には企業の採用担当として書類選考や面接を担当したことがあります。その経験を通じて感じたのは、「回数そのもの」よりも「転職理由の一貫性」と「得たスキルの説得力」が大きな分かれ目になるということです。

この記事では、20代・30代で一般的とされる転職回数の目安、採用担当が見ている本音、回数をカバーする職務経歴書や面接での伝え方を具体的に紹介します。

記事の最後には転職回数が多くても不採用にならない職務経歴書の例文も掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

年代別転職回数の平均は?

マイナビの調査によると、20〜30代では「1〜2回程度の転職」が最も一般的であるという結果が出ています。

参考:転職動向調査2024年版(2023年実績)

1〜2回程度の転職を経験した人の割合は20代で80%、30代で50%ほどでした。

また30代になると転職回数が3回の人も4人に一人と増えてきており、社会人経験が伸びるほど転職回数も増える傾向があることがわかります。

20代だと社会人経験が10年ほど、30代だと20年ほどになりますので、多くの人が1社あたり5年程度は勤続していると考えられます。

これらの傾向をもとに考えると、20代で3回以上、30代で4回以上の転職回数がある場合は「ちょっと転職が多いな」、20代〜30代で5回以上の転職がある場合は「転職が多い、それぞれの職場での勤続年数が短いな」と判断されやすい傾向があります。

私の採用経験でも現場の肌感として同じような感覚を持っています。

20代〜30代で5回以上の転職歴があると、一つの職場での勤続年数が1〜2年ほどになっているため、転職を繰り返している理由はなんだろうか?という疑問が湧くのです。

採用する側からは長く一緒に働ける人材を求めているので、転職回数が多く平均勤続年数が短いと気になるポイントになってしまうわけですね。

採用担当の本音:回数より「理由」と「成果」を見る

採用担当として転職回数や勤続年数の長さは気になりますが、もちろんそれだけで判断することはありません。なので、もしあなたの転職回数が多かったとしてもキャリア上必ず不利になってしまうわけではありません

転職回数が多くても、業界では有名で優秀な社員が集まるような会社に移っているようなパターン、例えばエンジニアであれば「Google -> Amazon -> OpenAIと転職をして、AIに関する開発をしていました!」という人だったら超欲しい人材ですよね。

私が企業で採用担当をしていたとき、多くの応募者の履歴書や職務経歴書に目を通してきました。注目していたのは以下の点です。

  • 在職期間の長さ
  • 転職理由の説得力と一貫性

在籍期間の長さ

1〜2年で転職することは最近では増えてきていますが、それでも1年未満での離職は転職でマイナスイメージを与える原因になります。

1回だけそういうパターンがあるのであれば気になりませんが、1年未満の短期離職が複数回ある場合は要注意です。短期離職を繰り返してしまうと、採用先の企業に対して

  • 短期離職を繰り返しているということは応募者に問題があるのではないか?
  • 職場の人間とうまく人間関係を構築できるのか?
  • 多少の負荷ですぐに逃げ出してしまうような人間ではないか?

と本人側の資質に疑問を持たれてしまうからです。

逆に短期離職が1回だけなどであれば、「職場環境や在籍企業側に何か不都合があったのかな?」と本人以外の原因も考えられるため、転職に大きく影響することはありません。

短期離職はなるべく避けるようにしましょう。

転職理由の説得力と一貫性

転職の回数そのものよりも、採用担当者が重視するのは「なぜ転職したのか」という理由の妥当性と、キャリアの流れに一貫性を持っているかどうかです。

転職回数が多くても採用につながる人は、転職理由に説得力と一貫性があります。

例えば、

  • 説得力のある転職理由
    • 「新しいスキルを身につけるために、より専門性の高い環境を選んだ」
    • 「事業フェーズの異なる会社で経験を積み、マネジメント力を伸ばしたかった」
    • 「今のスキルをより成長させられる環境を求めての挑戦」
  • 一貫性があると評価されやすいケース
    • エンジニア → プロジェクトリーダー → プロダクトマネージャー、と役割が広がっている
    • 同じ業界でポジションをステップアップしている
    • 収入・責任・専門性のいずれかが段階的に高まっている

逆に、採用担当者に刺さらないような人は

  • 評価されにくい転職理由
    • 仕事が自分の求める内容とあっていないからやめた
    • 人間関係でトラブルになり転職をした
  • 一貫性に乏しいケース
    • 業界や業種も全く異なる職に転職してしまった(例:IT業界の営業→建設会社の事務員)
    • 業界や職種は同じだが、ポジションや責任が伸びておらずむしろ下がっている

私自身、2回の転職を経験していますが、それぞれの理由を説明するときには「なぜ前職を辞めたか」「次の会社を選んだ理由」をセットで伝えるようにしました。この「前後のつながり」を明確に話せると、採用担当者にとって安心材料になります。

つまり、転職回数を気にするよりも、一貫したキャリアビジョンの中で説明できるかどうかが評価の分かれ目です。

具体例を挙げると、私が1次面接で担当した候補者で20代で3回転職している方がいました。

それぞれの会社での勤続年数が1年半ほどずつです。

一見転職が多いなと感じたのですが、面接で

「1社目では大規模な基幹システム開発で基礎的な技術を学び、2社目ではスタートアップでWebサービスの新規開発に携わり、設計・開発・テスト・保守運用の一連を学び、3社目ではその経験を活かして新規サービス立ち上げのリーダーとしてマネジメント経験を積んだ」

と語られ、その理由に納得しました。結果、その方は採用となり会社でも幅広く活躍していました。なんでもできる人っているのだなあと感動したことを覚えています。その後、2年ほどでまた別の会社に転職されていきましたが、2年間で会社に大きく貢献された人材でした。

転職回数が不利に働くケース/不利にならないケース

これまでの話をまとめましょう。

不利に働くケース

  • 短期離職が続いている
  • 職種や業界がバラバラで一貫性がない
  • 空白期間が長く、理由が説明できない

不利にならないケース

  • 各社で成果を残しており、キャリアのストーリーが描ける
  • 専門スキルを積み上げるための転職
  • 外資系やスタートアップなど、転職が前提の業界を志望している

要するに「転職のたびに会社に貢献し、成長してきた」というストーリーを語れるかどうかが分岐点になります。

職務経歴書で「回数」をカバーする具体テク

転職回数が多い人にとって、職務経歴書は最大の武器です。ポイントは時系列の羅列だけではなく、スキルや成果でまとめ直し、キャリアのストーリーを語ることです。

書類選考でお祈りされてしまうと面接でのアピールもできなくなってしまいます。たかが職務経歴書だと思わずに入念に準備しましょう。

転職回数が多くてもアピールできる職務経歴書テンプレ!

ここでは転職回数が多くても書類でアピールできる職務経歴書のテンプレを紹介します。読者の方もフォーマットを真似しながら、ご自身の経歴に当てはめて使えるようにしました。

こんな構成になっています。

  1. 職務要約
  2. 時系列ごとの職歴
  3. 自身のスキルPR
  4. 自己PR

1. 職務要約

まず自分のキャリアについて説明します。どういう業界でどういうポジションを経験してきたのか、大まかにわかるように書きます。

書き方のポイント

  • 「何年、どんな領域で働いてきたか」を簡潔にまとめる
  • 転職の流れがキャリア形成にどうつながっているかを一文で示す
  • 過去の転職理由やモチベーションについて盛り込む

サンプル
新卒入社以来、一貫してソフトウェア開発に従事。大手メーカーで基幹システムの開発を経験した後、スタートアップにて新規事業立ち上げに参画。直近では外資系IT企業でプロジェクトマネージャーとして複数のチームをリード。習得した技術力を基礎とし、新規開発やマネジメントまで幅広く経験を積む。

2. 時系列ごとの職務経歴

次は時系列ごとに職務経験を記載します。ここでのポイントは自分が何を成し遂げたかを中心に書くことです。多すぎても読みにくいため、各社ごとに100文字程度にまとめられるようにしましょう。

サンプル文
株式会社A(2019年4月〜2022年3月)
事業内容:自動車メーカー/基幹システム開発
職種:ソフトウェアエンジニア
生産管理用の社内期間システム開発チームにてソフトウェア開発に従事。主にバックエンド開発を担当し、SQL最適化を通し処理速度を全体で20%改善。またチーム内で勉強会を定期開催しメンバーの技術力向上にも貢献した。

株式会社B(2022年4月〜2024年6月)
事業内容:スタートアップ/Webサービス開発
職種:フルスタックエンジニア/プロジェクトリーダー
A社での経験を活かし、スタートアップへ転職。新規マッチングアプリのバックエンド・フロントエンド開発を0から担当し、1年半でユーザ数10万人を支えるシステムの開発に貢献。開発と並行しCI/CDや自動テストのメンテも行いデプロイコストを40%、バグ発生率を25%削減した。開発チーム(メンバー数5人)のリードも担当。

株式会社C(2024年7月〜現職)
事業内容:外資系/クラウドサービス事業
職種:プロジェクトマネージャー
立ち上げからグロースまでの経験を踏まえ、世界的に展開できるサービスの開発やマネジメントを目指しC社へ転職。20億円規模のプロジェクトをリードし、予定より2週間早くリリースし、顧客満足度95%以上を達成。社内表彰「Best Project Manager Award」を受賞。

3. スキル一覧

書き方のポイント

  • 「技術スキル」「マネジメントスキル」「語学力」の3分類で整理するとわかりやすいです

サンプル

  • 言語:Java, C++, JavaScript, Python
  • フレームワーク:React, Node.js, Spring Boot
  • インフラ:AWS, GCP, Docker
  • マネジメント:Agile開発、スクラム運営、チームビルディング
  • 語学:TOEIC 900点

4. 自己PR

自己PRには、会社に対してどのように貢献できるのかを軸に組み立てましょう。

書き方のポイント

  • 「会社に対して提供できる自分の価値」を書く
  • これまでの転職も、今回の転職も「キャリアのステップアップ」として説明できるようにまとめる

サンプル文
私はこれまで、基幹システムの開発からWebサービスの新規立ち上げ、そして外資系ITでのプロジェクトマネジメントと、多様な経験を積んできました。転職回数は2回ですが、それぞれに明確な目的があり、結果として「技術力 → サービス開発力 → マネジメント力」と段階的な成長を実現できています。御社ではこの経験を活かし、会社全体の視座を持って、事業全体を推進できるリーダーとして貢献したいと考えています。

短期離職についてはネガティブな出来事ではなく必要なスキルを学んだ過程として書くのが重要です。例えば現職では1年ほどしかっていないのに転職する場合は次のように書くと良いでしょう。

サンプル分
現職ではプロジェクトマネージャーとして成果を出してきましたが、よりエンドユーザに近い立場でプロジェクトを進めることが自分に合っていると感じました。現職ではtoC向けのサービスのみを扱っているため、toBの事業展開を計画している御社に非常に興味があります。

まとめ

この記事のまとめです。

  • 20代は1〜2回、30代は3回ほどの転職が目安
  • 1年未満の短期離職が続くと転職市場ではマイナスイメージがつくので注意すること
  • 採用担当が見ているのは転職理由の説得力と一貫性
  • 職務経歴書ではキャリアのストーリーを意識する。

転職回数の多さを気にするよりも、自分のキャリアをどう語るかにエネルギーを注ぎましょう。

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FAQ

Q1:20代で3回転職してしまいました。もう不利ですか?
→ 不利ではありません。ただし短期離職が続いているならその理由と離職経験から学んだことを明確に語る必要があります。

Q2:回数が多いと必ず落ちますか?
→ いいえ。採用担当は転職理由の説得力と一貫性を重視します。

Q3:外資系は気にしませんか?
→ 外資系も日系企業も傾向は変わりません。回数よりもスキルと実績、キャリアのストーリーが重要です。

Q4:短期での離職がかなりの回数あります
→ 年齢にもよりますが、極端に回数が多いと転職市場で評価されない可能性があり、人材が集まらない不人気企業(=ブラック企業)にしか転職ができない可能性があります。転職を繰り返すより、今の職場である程度の年数を耐え、実績を作ってから再度転職した方がよいと考えられます。

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